印刷物のPDCA

PDCAとは、なんとかマネジメントシステム…とかいうのによく出てくるものです。具体的には下記の4つの頭文字をあわせて作られた言葉です。
1. Plan:計画
2. Do:実施・実行
3. Check:点検・評価
4. Act:処置・改善
このPDCAという考え方は、メディアとしてのウェブサイトのサイクルとしても適用されることが少なくありません。どんなサイトにしろ何らかの目的を持って開設されるものであり、提案段階からサイトの目的や目標ということを意識します。また公開後も「アクセスが思ったように伸びない」「期待した効果が得られていない」などの、お客様の声に応えることは当たり前の事となっています。特にウェブサイトではアクセス解析が可能なので、より客観的に「効果測定」がなされます。効果測定によって得られた結論に基づいて、サイトは改良が加えられ進化を遂げてゆきます。実際のところウェブサイトは納品(公開)したら完了ではなく、そこからが勝負となることは日々実感するところでもあります。

翻って印刷物の場合はどうでしょう?圧倒的に多くの印刷物は「納品して終わり」という風に扱われていないでしょうか?印刷会社は、何故その印刷物が企画されたか、どういう狙いを持って作られるのかについては関心を持たず、「自社に受注するのにはどうしたらいいか?」という一点に意識が集中していないでしょうか?また納品後も「意図した効果は得られているのか」「次回に向けての改善点は何か」ということには意識がいかず「確実に入金をしてもらう」事に全力をあげ、「次回もよろしくお願いします」と担当者に笑顔で声をかけて終わり…ということになっていないでしょうか?

これはまさしく、印刷物を「メディア」ではなく「製造物」としてしか見ていないということの証ではないかと思うのです。印刷物もお客様にとってはウェブサイトと変わらぬ「メディア」であるはずなのに、印刷会社は「製造物」としてしか見ていないのです。極論すれば、印刷物の中身は何でもよく、インクは何色使ったか、紙は何枚使ったかということだけが関心事であるということになります。何が刷られたかという中身には関心が無く、メディアとしての印刷物のPDCAは意識されずに日々過ぎているというのが実状ではないでしょうか?

ここで私は大きな勘違いに気づきました。おそらく社長を含めた当社の社員の大半は、私の所属する事業部でウェブサイトやウェブアプリケーションを受注できることを持って「我が社もメディア産業化してきている」と思っているのではないかということです。
現状で言えばサイトが受注できるようになったということは、製造業である印刷会社の営業品目のひとつに、そういうものが増えたということにしかなりません。確かに受注の幅は広がったのかもしれませんが、製造業としての印刷会社としての性格は根本的には変わらず、むしろウェブサイトですら「製造物」として納品(公開)すればおしまいというレベルで止まってしまう可能性があります(実際にそういう意識が自分の中でも根強いと思うのです)。

「情報メディア産業」とか「メディア・コンテンツ産業」というような言い方を業界団体などではするようですが、そういうものになるためには少なくとも「製造業」自体からステップアップする必要があるのではないかと思うのです。
そのためには印刷会社のコア商品である、印刷物を「メディア」としてとらえ直し、印刷物のPDCAに印刷会社が積極的に関わっていくことが大事なんだと思います。同時にそれは自社を「製造業」として見るのかどうかの自己アイデンティティを再構築してゆく作業になるんだと思います。

印刷物をメディアとして見てPDCAを考えるとき、いろんな附帯サービスを考えることが可能です。当社でも顧客のデジタル資産管理を支援するサービスを提供したり、オンライン入稿の専用サービスの提供、受注集計作業の受託、発送代行サービスなど結構やってるように思うのですが、そのいずれも「特殊な例」と受け止められています。しかしこれからはマーケティングや企画立案の部分、効果測定や業務支援などを印刷物製造と合わせて考えていくことが必要不可欠になるのではないでしょうか?
この部分でかみ合った顧客は「囲い込む」ことができるということでもあると思います。
単品としてのサイトではなく、顧客のメディア戦略の一環としてのサイトを受注しPDCAにかかわっていくべきなのです。また顧客サービスの面でもIT技術を駆使して今までにはなかった便利なサービスが提供できるし、そういうものを提供できる力をつけてゆかねばなりません。

ま、いわば印刷会社の「自分探し」が始まったということでもあると思います。もちろん「脱製造業」を目指さず、徹底して「製造業」としての印刷会社としての道を突き進むというのも選択肢のひとつでしょう。しかし我が社は、そういうことに耐えうる資金や体力が乏しいので(笑)、知恵と工夫でなるべくお金をかけずにいける方向を目指すしかないように思います。

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