オープンソースCMSの選び方

最初にお断りしておきますが、ここでいうCMSとはウェブサイトを管理するコンテンツ・マネージメント・システムの意味であって、カラー・マネージメント・システムではありません。

さて印刷会社のWeb制作部門というのは、会社全体から見ると決して多くのリソースが集中しているとは言い難い状況があると思います。かく言う我が社も80人弱の会社でWeb制作に携わるのは6人という状況ですが、これは恵まれている方なのかもしれません。
印刷会社にはデザイナーもいるので、見た目の綺麗さで勝負してきたところも少なくないと思います。Dreamweaverのようなオーサリングツールで、しこしこHTMLを書くことが主流という会社もまだまだあるのではと予想されます。
しかし、これからHTMLをしこしこ書くようなスタイルは早晩行き詰まると思います。Webを取り巻くあらゆる状況を見てみても、中小の企業や団体のWebサイトもCMSで構築されていくのが、当たり前の時代がやってくると思います。
もうすでにMobavleTypeやXOOPSで企業サイトを作ったという例は、いくらでもあります。今後はブログツールをカスタマイズしてというよりは、最初からいろんなタイプのコンテンツや機能を搭載できることが前提となる、汎用CMSというのが主流となってくるんじゃないかと思います。

今まで我が社も各種の「更新プログラム」なるものを開発し提供してきました。おかげさまで使い勝手にはこだわった甲斐あって「使いやすい」「簡単に更新できる」という評価を頂いています。
しかしこのまま自社開発のCMSで突き進んでいっていいのかという不安が大きくなってきました。直接的には、自社のCMSを開発してくれているプログラマの出勤状況が悪くなり「いつまでも会社にいてくれるとは限らない」と思うようになったという事があります。それだけでなく日々進化するWebの世界にあって、進化の流れに遅れないように機能を強化したり、セキュリティホールをふさいでいく作業が、こんな小さなセクションで、個人に依存した形で継続してゆけるのかという不安がどうしても拭いきれなくなってきたのです。そこで思いついたのが、オープンソースのCMSを採用し、自分たちのこだわりたい部分はプラグインとして開発し実装してゆくという路線です。
オープンソースですから、自社開発したものもソースを含めて公開されることになりますが、囲ったところで身動きがとれなくなるのなら、広く一般に公開して問題点を指摘してもらったり、あわよくば自社開発したものより優秀なものを開発してもらい、それを利用した方がいいんじゃないかと思うようになったのです。
要するにこの方が、自社に必要なCMSの継続性や発展性を担保できると思ったのです。

さてそうなると、どのCMSをメインに考えていったらいいんだろうかということです。
普通に考えたら、

  1. 基本機能は充実しているか?
  2. カスタマイズはしやすいか?
  3. プラグインは豊富か?
  4. 携帯表示に対応しているか?
  5. 管理画面や入力画面はわかりやすいか?

などがポイントになると思います。
特に携帯での表示を抑えておくことは大事で、最近は「携帯でも見られるように」というオーダーが増えてきているので、プラグインでの対応も含めて携帯表示に対応させられるかどうかは見ておく必要があります。サイト全体をCMS化してしまったあとで携帯に対応させようとしても、もしそういうことが不可能であればシステムの入れ替えから考えなくてはなりません。
また管理画面や入力画面がわかりやすいかというのも大切です。それはサイトとCMSの管理は当社でやるというのならいいのですが、当然お客様の側で部分的にでも管理したいということになってくると、管理画面が解かりにくいと余計なサポート負荷が生じます。管理画面がわかりにくければ「使いづらい」と文句を受けることは間違いないので、お客様が触る部分がある以上は、管理画面や入力画面がわかりやすいということは大切なのです。…まぁ、これは高機能だけれども管理画面のわかりにくさにかけては天下一品という汎用CMSがあるので、それにはしたくないということの表れなんですけどね(^^)

これらの情報は雑誌などの特集などで、何度も取り上げられているし、それなりにわかるわけですが、見落としてはならないと思う点が、もう2つあります。

それは、

  1. 日本語の情報源、コミュニティはしっかりしているか?
  2. ビジネスとして受けてくれる会社があるか?

の2点です。

日本語の情報源が豊富かどうかというのは、英語のわからない私たちにとっては死活問題です。日本語公式サイトや、そのドキュメントページは充実しているかははずせない点です。
また、そのシステムのデザインのカスタマイズは少々しにくくても、こちらは制作の「(いちおう)プロ」なので頑張ればなんとかなると思うのです。そういう意味で困ったときに調べたり聞いたりできる日本語の情報源とか、コミュニティがしっかりしてるかどうかがポイントになります。

もうひとつはプラグインにしても現時点でどうかというのはあると思いますが、なければ作らないとどうにもならない場合があります。このとき「おもしろそうだからやってみてもいいよ」というコミュニティの誰かではなく、ちゃんとビジネスとして話ができる相手がいるかどうかが大事です。作ってもらったものを「製品」としてクライアントに納入するわけですから、個人の善意や興味で作ってもらったのはいいけど、その後のメンテナンスはバグフィクスなどは、やってもらえずクライアントに迷惑をかけることになったら最悪です。

私の知人に、副業でCGI開発をしている人にプログラムを組んでもらったけれど、その人の本業が忙しくなりCGI開発から手を引いてしまったがために、そのプログラムを継続して使うことを断念せざるを得なかった人がいます。またプログラム開発ではないけれど、うちのクライアントで「安いから」という理由でSOHOに仕事を出してサブサイトを作ってしもらったはいいが、そこが「夜逃げ」してしまいなんともならなくなったというところもあります(結局、その尻拭いはうちがやることになりました)。

今のご時勢は企業規模が大きければ安定しているということではないと思いますが、仮に今までメインでやっていた開発者の方が、何らかの理由でいなくなったとしても会社としては継続して開発を受けてくれる体制があるところでないと安心して仕事を頼めません。なのでビジネスとして継続して受けてくれる環境があるかどうかというのは重要なポイントだと思うのです。ここは結構、見落とされている点じゃないかと思います。

繰り返しになりますが、印刷会社のWeb制作部門というのは、自社でシステム開発を行っていくのはかなりの覚悟と投資がいると思います。なので、オープンソースコミュニティに積極的に関わるようにして、そこでネットワークを広げてクライアントのオーダーに応えていくというのが現実的な路線ではないかと思います。
その際に、機能面だけでなく、コミュニティやビジネス環境などの面にも目を配っていくのは、とても重要なポイントになると思います。

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コメント:4個

  1. nobuより、 2007/12/21 金曜日:

    CMSと印刷で検索して、こちらのページにたどりつきました。私も同業ですので書かれているところにとても共感できる
    ところがあります。
    ウチはオープン・ソースのploneで自社サイトを作りました。 当社の顧客へのポータルとしての機能を提供しています。
    現在取引先のサイトをplone化している最中です。開発の負担を軽減させる意味でオープンソースを選択するのは良い選択
    だと思います。大体オープンソースのコミュニティはフレンドリーで疑問に関して相談も乗っていただきやすいです。
    とりあえず、Plone は大体 gori さんの条件に合うと思います。携帯対応を除いて。

    CMSはページ更新ツールのように考えられることが多いようですが、ウチでは将来のレベルアップに耐えられるように、
    バックエンドにウェブアプリケーション・フレームワークのあるものを選択しました。MVC分離がきちんとできているもの
    がいいのではないでしょうか。携帯対応については、日本の携帯事情が世界的にみて特殊なので、プラグイン等で対応して
    いるところがいいでしょうね。Ploneでは正式対応してはいませんが、開発を続けているらしいです。

  2. goriより、 2007/12/21 金曜日:

    nobuさん、コメントありがとうございます。

    ploneの事は知っていましたが、Zopeを動かすのに必要なPythonに馴染みがなく、自分たちの手に負えなさそうなので、検討対象からは外れていました(^^;
    ただバックエンドにウェブアプリケーション・フレームワークがあるのはよさそうですね。
    本文中には「で、結局何を選んだの?」という結論は書きませんでしたが、現時点ではGeeklogで行こうと思っています。自社のノウハウとしてはPHPとMySQLの組み合わせがベストですし、選定条件をほぼ全部クリアしています。
    http://www.geeklog.jp/

    MODxもいいなぁとは思うんですが…ちょっと選定条件では厳しい採点となってしまっています。

  3. 平田直毅より、 2008/3/5 水曜日:

    「Magic3」という日本発の汎用オープンソースCMSを作っています。
    特徴としては、コンテンツだけでなく、機能の追加や入れ替えもブラウザだけでできるところです。
    機能部品をぺたぺた画面に貼り付けるだけで、Webアプリが作れます。
    デザイン面はJoomlaのテンプレートがそのまま使えます。
    ご興味ありましたら、ぜひ試してみてください。
    http://www.magic3.org
    私の会社の方で全面的にサポートしていますので、サポートがなくて困るということもありません。

  4. FURUSHOより、 2008/3/26 水曜日:

    始めまして、同じく、オープンソースでCMSの開発を行っている者です。CMSについて検索しているところ、たどり着きました。

    http://www.soycms.net/

    機能拡張も含めた継続性の問題は、難しいですよね。
    nobuさんの仰られるようなバックエンドの綺麗さまで考えると、
    必ずしも今普及しているものに将来性があるともいえず、判断は
    極めて複雑なものになってくると思います。

    弊社のような開発中心の会社ではそういう部分も当然意識するの
    ですが、ユーザサイドでも気を配っていらっしゃる方がおられると
    いうのは非常に参考になります。

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